夏期講座報告

やきもの鑑賞ー

今年最後の夏期講座が8月21日(日)に開催されました。

参加者がそれぞれ所有するやきものを持ち寄り、その一品にかかわるお話を、講師の脇田宗孝先生から伺う講座です。

「結婚式のお祝いでもらった壷」

「昔の稼業で(油屋)使っていた壷」

「備前焼の窯元を見学したときに一番気に入った壷」

「以前から収集している古いやきものの破片」

などが持ち寄られ中央のテーブルに置いて、一人一人が自分のいわれを述べて先生がそれについて話されるという形で進められました。

先生は、日本は火山国であるために各地で粘土の質が違い文化の違いとも相まってやきものも違っている。各地の陶工は優れた作品を作ることで喜んでもらえるように
一生懸命に取り組んで各地でのレベルが上がった。日本のやきものは世界でも最高峰にありレベルが高いと話されました。

「備前焼の壷」は、粘土の質による時代の違い、大きな登り窯で焼成する時にどの場所に置くかによって焼成温度の違いが生じ
どの作品をとっても同じものがない。緑の釉薬がある壷については“流しかけ”釉薬の話、焼成後の粘土の色の違いによる産地の特定、さらにやきものを入れる桐箱の話などどれも興味深い話が続きました。

また「伊万里焼の破片」では実際に焼かれたのは有田で、伊万里港から運ばれて来たために“伊万里焼”と呼ばれるようになったと”目から鱗”の話でした。

同じ例として”ルソンの壷”も、作られたのは中国の福建省で東インド会社の船でルソン島に運ばれ日本の堺に持ち込まれたことからそう呼ばれるようになったとのことです。

先生は若いころに日本や世界の窯元を訪ね歩き、薪割りや粘土運びを手伝いながら
“一宿一飯の恩を返す旅”をされていたそうで、そうした経験による豊富な知識を
持たれているからこそ、どんなやきものを持ち込まれても対応され多くのことを教えていただけるのだと思いました。

最後に明日香『古代のやきもの』なぞなぞクイズとして21問の〇✕クイズで締めくくられました。

そのうちのいくつかを設問として出しますので、皆さんもチャレンジしてください。

①縄文土器は世界の土器で最も古いものの一つである。

②弥生土器は畿内より発生したもので稲作文化と関連している。

③土師器は古墳時代だけでなく近世まで使われていた。

④須恵器は瀬戸地方で一番早くから作られていた。

⑤釉薬の最初は朝鮮半島から伝えられ川原寺でも使われていた。

正解 ①〇②✕③〇④✕⑤〇